「プレリードッグのぶう」          ’01年3月20日


プレリードッグのぶう

 正直に書いてしまいますと、この本の表紙を見たとき私はあまり良い印象を持てませんでした。
 絵があまりにもマンガチックで、中味も4こまマンガだろうと思ったのです。
 でも、プレリードッグの話みたいだからちょっと見てみようかなという気になったのです。
 けれども読んでみましたら、スケッチ風の絵はもっとリアルでずっと魅力的なものでした。
 そして、なによりもプレリードッグのぶうがとりわけ魅力的なのです。
 私にとってどこがどのように魅力的なのかを、読んだばかりの時には書けませんでした。
 でも、今ならこのように感じていると書くことができます。
 フィクションではなくて実際にあったことをありのままに書いているわけですから、それほどドラマチックな出来事が書かれているわけではありません。
 それなのにどういうわけか心の奥底に深く沈んでいつまでも残っている。
 そして、その記憶にたまたまふれた時にとても心地よく落ち着いた気持ちにひたらせてくれる。
 そんな本なのです。
 文庫ですから図書館にはまだ無いかも知れませんが、本屋さんに行ったらちょっとさがしてみて下さい。
 作者の伊勢英子さんはシベリアンハスキーのグレイについて書いた物語もあるそうです。
 実は、そのグレイ物語のほうが有名なのかも知れません。
 と言うよりも、もうすでに皆さんのほうがこれらの本について私なんかよりもずっとよく知っているかも知れませんね。

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